良い家を建てるために大切なことは、あなた自身が家作りのポイントを勉強することです。何が欠陥なのか、何が良いのかを知らなければなりません。前にも述べたように、難しいからと言って、信頼して任せられるような人は、ほとんどいません。なぜなら、住宅においては、最近になってやっと、理論的にも、実践的にも確立されつつあるからです。「いい家を作る」ことを追及し、勉強し解かっている人は、そうはいないのです。「売れる家」ばかりを考え、間違った理論を、さも正しいように、本にまで書いて売ろうとしているやからもいます。
これから、できる限り解かるように述べていきますので、何が正しいか、間違いか、あなた自身が判断するちからをつけて下さい。必ず出来ますから。
RC(コンクリート)住宅の欠陥
コンクリートの一番の欠点は、何と言っても、乾くのに時間が掛かることです。条件にもよりますが、早くて五年以上かかります。基本的に、透湿抵抗が高く、吸湿性が無い(結露の王様)。その上に、コンクリート自体からの放湿がある為に色々な障害が発生します。
仮に、万全の対策をしたとしても、その費用は莫大なものになります。五十坪の家で、坪単価八十万円、総額、四千万円はかかります。最近、坪単価四十万円前後の、広告を見ますが、百パーセント欠陥住宅です。
鉄骨系住宅の欠陥
基本的に、RC住宅と同じで、結露対策が非常に難しく費用が掛かりすぎる事です。ましてや、その結露により、鉄骨本体が錆びるのが、致命的です。
木質系(木造)住宅の欠陥
住宅として、一般的な木質系住宅には、次の工法があります。
一、 木軸在来工法
二、 ツーバイフォー工法
三、 木質系プレハブ工法
四、 ログハウス
代表的な木軸在来工法を部分的に述べていきたいと思います。
基礎
基礎において一番多い欠陥は、換気孔の取り方に有ります。基礎の高さが、六十センチ(建築基準法では四十センチ)以上取れない為に、(玄関ポーチの高さの問題など)換気孔の部分から折れたり、ひびが入ることがあります。
もちろん、一番の原因は地盤の沈降にありますが、地震などの不測の事態を考えれば、部分的な地盤沈降には耐えられる基礎で無ければ成らないのです。
近年、基礎パッキング(基礎と土台の間に入れる、厚さ二センチ、幅二十センチの硬質ゴム系)が作られ、土台下全周換気が出来るようになっています。
この、「基礎パッキング(全周換気)工法」は、換気能力においても抜群の力を発揮し、その風量は床下からの隙間風が出るほどです。隙間風対策は後で述べます。(第四章 断熱講座)
現在では、基礎においては、基礎パッキン工法以外は欠陥です。もちろん、ログハウスなみに六十センチ以上の高さが取れれば別です。
床束
床束とは、基礎の無い部分で、土台、大引(1階床根太を受けるもの)を支える物を言います。近年では鋼製、及びプラスチック製が当たり前です。その為にも、当然、ベタ基礎(建築面積全部に、厚さ十五センチ以上のベースコンクリートを施工)でなければいけないのです。
木材の束は、床の不陸(真っ直ぐでない事)調整が難しく、乾燥により高さが縮み、床鳴りの原因にもなります。今でも使っているところが多いので 、床下は、要注意です。
土台
物のたとえにも使われるように、土台から腐っていく欠陥住宅は、非常に多いものです。
土台自体の欠陥よりも、結露、雨漏り、基礎などの欠陥が大きな原因です。それでも、一般的に良く使われている、加圧注入材(米トガと呼ばれる、あまり強度が無い樹種を圧縮し、石油系薬剤で処理した輸入材)は、良くは有りません。
樹種、材質の欠陥は、専門的で難しすぎるのでここでは述べませんが、土台、大引きには「ヒノキ」の芯持ち材が良いでしょう。
外壁
外壁の欠陥については、サイディング材の普及、透湿シートの普及、及び外壁通気工法の普及によりかなり改善されましたが、サッシ廻りや庇、軒裏からの雨漏りは、まだまだ多いので要注意です。コーキング工事の手抜きや不備によるものが多いのですが、防水テープの不使用もあります。
「ALC(気泡コンクリート)」や「モルタル塗り」などのコンクリート系外壁材は、結露やひび割れなどがあり、問題です。
断熱材
外壁で、一番大事なものは「断熱材」です。詳しいことは後ででてきますが、断熱材を隙間なく充てんする事がポイントです。床下や天井裏も、同様です。先に述べた、キソパッキン工法を行う為にも隙間をなくすことが重要です。
隙間がない(高気密工法)ということは、呼吸する断熱材でなければなりません。現在、よく使われているグラスファイバー(ガラス繊維)やウレタンなどの化学断熱材では、駄目です。
呼吸し、調湿する断熱材は、「セルローズファイバー」です。(第四章、断熱講座参照)。
屋根
昔の和風住宅は、今で言う基礎は無く、束石(自然石)の上に柱を乗せただけの構造でしたので、梁なども大きくし、屋根にも土を載せて瓦を葺き、出来る限り重くしなければならなかったのです。
しかし現在の、基礎と一体化した構造では、特に屋根は軽いほうが地震などの揺れに強いのです。そういう意味では、和風住宅の、立派な入母屋の屋根は、欠陥です。その上、台風にも弱く、一般の住宅には向きません。 スレ−ト(平板)瓦は、軽いのはいいのですが、経年劣化が激しく、反って隙間ができると風に弱いのが欠点です。セメント系の瓦も同じです。防災型の陶器瓦をお勧めします。