第七章 良い家とは


 家とは、生活をする場所、子供を育てるところ、家族のだんらんをはぐくむ所、居住する場所ですから、良い家の一番の条件とは居住性です。 住み心地が一番大切なのです。
 一年中、朝、昼、晩、外の温度と同じように変わり、エアコンだけを頼りにするような家では駄目です。どんなに寒くなっても室内は十三度以上、どんなに暑くなっても室内は二十五度以下に保てるような家が良い家です。
 湿度は、ある意味では温度以上に住み心地を左右します。冬のかさかさ感、夏のじめじめ感は、心理的にもその影響はかなりのものがあり、そのストレスははかり知れないものが有ります。調湿が出来ない家は、もちろん駄目です。調湿が出来る家こそ、良い家です。
 住んでみて始めて分かるのが、音の問題です。昼間の音は、慣れるに従い「こんなもんだろう」と良いにしても、夜の音は、たまりません。気になる人は不眠症になり、あまり気にしない人でも知らないうちに睡眠が浅くなり、体調を壊していくのです。音は完全に無くすことは出来ませんが、ある程度の防音が出来ているのが良い家です。
冒頭に述べましたように、耐久性はもちろんですが、断熱調湿防音のこの三つが出来てこそ、良い家だといえるのです。

外観について

 家の外観は、九割以上が周囲の人のものであって、自分で眺める時間は新築の時ぐらいで、一割にも満たないものです。特に色については、朝から晩まで奇抜な色を眺めていなければならない隣人はたまりません
 遠くから目立つような住いこそ、周囲の大迷惑です。滅入るような色彩のサイディングなど、何とかしてくれと言いたくなります。又、複雑な屋根の形は、雨漏りの原因になりかねません
 地中海の国々では多くのところで、屋根は何色、壁は何色と決まりみたいなものがあるようです。ローマなどでは町の指定色が四色ほどで、そのいずれもくすんだ色だそうです。


 住宅の価格

 住宅の価格ほど、消費者にとって難しいものは有りません。「安いにこした事はないが、安かろう悪かろうでは困る。」といった具合に、安ければ常に不安が付きまといます。かといって高いのも困りますが・・・第一、内容に比べ高いのか安いのかが、なかなか解かりません。ですから、どうしても一般的な坪単価で考えてしまうのです。坪四十万円は普通で、坪三十万円以下なら安い。そんなふうに考えるのです。
 住宅の価格は、固定した部分と広さによって変動する部分に分かれます。固定した部分とは、広さに関係なく住宅には必ず一つ必要な、キッチンや風呂などの給排水設備、備品、電気の引き込み工事、玄関の設備工事、などです。ですから床面積が広くなるほど、坪単価は安くなるのです
 価格が高いか安いかは、内容的に一つ一つを見比べるしかないのです。それが嫌な方、出来ない方は、騙されるしかありません。

 見積もりの取り方について

 その方法とは、はじめに設計を依頼することです。フランチャイズの工務店やハウスメーカーは、設計料はただですが、「ただほど高くつくものはない」のいわれのとおり、スッポンのように食らい付いて放しませんから、用心してください。
 「設計料は払いますから、設計士を紹介して下さい」と地場の工務店に紹介してもらうか、設計事務所に依頼し、後の建築工事とははっきり分ける事です。
 本来、設計事務所に依頼する場合は、工事の管理、監督まで依頼するのが普通なのですが、実際には管理料を取られ高く付くだけで、現場の管理監督は工務店任せです。現場の事を知らないから、しようにも出来ないのです。
 管理業務とは、資材の見積もり、選定、発注、検査、下請け業者の見積もり、選定、発注、監督などで、現状ではそれをやっているのが工務店であり、工務店にしか出来ないのです。ある意味では、管理業務までできる設計事務所、それを工務店と呼んでいるのです
 又、資材の選定などにおいては、設計にも大きく関わりますので、管理業務の出来る所が良いのですが、いずれにせよ後の建築工事とははっきり分ける事です。見積もりに必要な図面は、仕様書、平面図、立面図、基礎伏図、一,二階床伏図、小屋、屋根伏図です。もちろん、法的に確認申請が出来るものでなければなりませんが、間取りプラン作成まで入れても十万から十五万円で出来るでしょう。
 見積もり依頼をするときは、相見積もりであることを明らかにし、最低三社は依頼したほうが良いでしょう。価格を比較するときには、総額ではなく内容を比べることが大切です。

ローコスト住宅

 近年、ローコストをうたい文句にして、詐欺的商法で客を騙し、トラブルが続発しているフランチャイズ系の住宅販売会社が数多くあります。
 本当の意味でのローコスト住宅をやっている工務店は、わずかしかありません。資材を安く仕入れるのは良いのですが、下請け業者を叩くだけ叩き、業者は仕方ないから手を抜く、もしくは結果的に手抜きになる。経費はハウスメーカーなみに、広告費、モデルハウスと莫大な費用をかける。それでローコストになる訳有りません。

安くて良い家は本当に出来る?

 出来ます。それはあなたが作るのです。見栄を張らずに無駄な部分にお金を掛けない事です。住宅の価格で一番無駄な部分は、広告やモデルハウスなどの販売経費です。営業マンの費用です
 宣伝費をあまりかけず、営業マンもいない、真剣に良い家を建てることだけを考えている。そんな工務店を、あなた自身が探すのです。必ず見つかります

大工さんについて

 私の家は代代、大工で、祖父は棟梁として、神社仏閣も手がける匠であったと聞いていますが、残念ながらいまや、匠と呼ばれるほどの大工は殆どいません。例えいたとしても、大工さんは勉強しません。資材の勉強、仕入れの努力、工法の研究などを殆どしない大工さんでは、良い家は出来ないでしょう。

向町のWさんの話

 新築で入居して間もないWさんから電話があり、セルローズファイバーの住み心地を尋ねたところ、「いいですね、こんなに違うとは思いませんでしたね。家に来た人はみんな良いと言いますよ。なんか、気持ちのよかねって言います。でも、何でいままで他の所は使ってなかったんですかね。」と返事がありました。ごもっともな話で、私もはじめそう思いました。こんな良い物ならもっと普及しても良い筈だと。・・・
 価格的に、現在、四十坪ぐらいの家で百万円位かかります。今まで使っていたグラスファイバーと比べると、約三倍です。差額の六十数万円を高いと思うか、思わないかです。売る事しか考えず、目先の金額しか考えない建築屋には、使えないのでしょう。実際には、得をするのに!
 東北、北海道では既に普及していますが、近年、関東圏では急速に普及しつつあります。長崎においても五年後にはかなりの普及があると考えています。又、良いもの、正しいものを普及させていくのが私たち、建築屋の努めだと思います。

目次


あとがき

 このレポートは、山本順三著「この本を読んでから建てよう」「住宅の断熱、結露、防音を克服する本」を参考にさせていただき、書きました。
 私は、ログハウスを理想とする住い造りをしておりましたが、敷地の問題や価格の問題でなかなかうまくいかず苦慮していました。そんなときに、勉強仲間である熊本の(株)コスモホームの斎藤氏から紹介され、目からうろこが落ちる思いで山本順三氏のご指導を仰いだわけです。
 このレポートを読まれ、理解された方は、必ず良い家を手に入れることが出来ると信じています。専門的な部分が多く、又、私の説明不足で解かり難かったと思います。解からない事があれば、遠慮なくお尋ねください。
皆様の手助けに、少しでもなればと思い、このレポートを書きました。

                   蓑田研一

良い家を建てよう

Z工法住宅研究会 発行

著者 (株)コスモ地建 代表取締役 蓑田研一


「家族の元気が出る住まい」

 そんな住まいを提供したいと心から願っております。

 新築、リフォームなど、建物に関することは何でもご相談ください。

ガイドブック

「良い家を建てよう!」

はじめに・目次

第一章 家づくりに失敗しないために

第二章 欠陥住宅

第三章 結露講座

第四章 断熱講座

第五章 防音講座

第六章 セルローズファイバー

第七章 良い家とは

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